京都五山の一つ相国寺の遺構
相国寺とは
日本には全国各地に古いお寺が存在しているが、何と言っても由緒あるお寺を数多く持つのは京都である。
京都にある歴史上のお寺の中でも権威を誇るお寺の一つが、釈迦如来を本尊とする「相国寺」だ。
相国寺は京都市上京区にある臨済宗相国寺派の大本山であり、京都五山の一つに数えられている。
1392年に、室町幕府第3代将軍の足利義満によって創建されて以降、室町時代を通して禅院の最高の位置にあり、五山文化の第二位に当たる。
相園寺は正式には、蔦年山相園承天禅寺と言い、世界文化遺産の鹿苑寺(金閣寺)や慈照寺(銀閣寺)を始め、全国に100余りの末寺を擁している。
相国寺の見どころ:法堂
相国寺の法堂は1605年、徳川家康の命により豊臣秀頼の寄進によって再建される(法堂は4回焼失)。
現存する法堂としては最古のものになっている。
ちなみに、法堂とは禅宗における独特な呼び方であり、他の宗派では講堂と呼んでいる。
相国寺には仏殿が無く、本尊が法堂に祀られており、相国寺の本堂となっている。
法堂は相国寺の伽藍の中で最も中心的な役割を担う建物になっている。
外観は二階建てに見えるが、一階の屋根に見えるのは裳階(もこし、庇のようなもの)で、実は単層の建物だ。
なお、法堂の天井には狩野光信による「竜」が描かれており、真下で手を叩くと独特の反響音を起こすことから、「鳴き竜」と呼ばれている。
法堂の内部は非公開であり、春と秋に行われる「特別拝観」の時だけ見ることができる。
相国寺の見どころ:方丈(住居)と庫裏(台所)
方丈
法堂の北側に、1807年に再建された入母屋造りの方丈がある。
方丈は住職の住居のことであり、南側に3室、北側に3室の六間取りで、畳の総数が168畳にもなる広さを誇っている。
ちなみに、禅宗の建築物の配置は三門、仏殿、法堂、方丈が南北に真っ直ぐ並んで建てられるのが特徴であり、相園寺も同様に法堂の北に方丈がある。
方丈の各部屋には京都出身の絵師の原在中や、歴代住職らによって描かれたきれいな襖絵が飾られており、その美しさには感動させられる。
庫裏
方丈に接続して庫裏があり(香積院と呼ばれる)、寺務所を兼ねている。
切妻妻入の造りになっており、入口を入ると広い土間に大きなかまどが置かれている。
天井は高く、立派な木材の梁が複雑に組まれており、壮観さを感じる。
相国寺の見どころ:開山堂と承天閣美術館
開山堂
法堂の東にある開山堂はその名の通り、相国寺を開山した夢窓国師の木造が安置されている。
開山堂で見逃せないのは、秋の特別拝観時に眺めることのできる枯山水の庭であり、御影の切石に縁取られた白砂に庭石を配した美しい姿が訪問客を魅了する。
なお、禅宗の庭は通常、北と南に分かれて異なる意味を含んで造営されるが、開山堂の庭は一つしかなく、稀有な例となっている。
承天閣美術館
相国寺の境内の北奥に、昭和59年(1984年)に相国寺創建600年を記念して建てられた承天閣美術館がある。
相国寺に伝わる美術品の他、金閣寺や銀閣寺の美術品など、国宝5点、重要文化財145点を含む多くの優れた文化財が収蔵されている。
作品の中には、伊藤若冲の「鹿苑寺大書院障壁画」の一部も展示されており、一見の価値が十分にある。