私は特に心霊的なものを見たことも聞いたこともない。
しかし時折、異様に恐怖を感じる場所や涙が流れる場所というものに出会うことがある。
日常生活においては特に何も反応することがないが、異様に恐怖を感じたのが南米を旅行中に訪れた教会だった。
教会のステンドグラスや装飾の美しさに惹かれ、他国でも訪れることが多い場所ではあるが、米スペイン語圏ではキリストや聖母マリアの人形が飾ってあり、人々はその人形に祈りを捧げる。
南米には信仰心の強い人が多いらしい。
そういった人形を小さな博物館のように展示している場所や小さな地元の教会など、人々の祈りを何十年も時には100年近く受け続けた人形たちを見ていると、特に恐ろしい表情をしているわけでもないのに、異様に恐怖を感じその場から逃げ出したい気持ちになり、いつもなら装飾やデザインなどをじっくり観察するはずが速足で通り過ぎていた。
そして同じく南米ペルーにてミイラを見る機会が2回ほどあった。
一人は呪術師が寿命を終え、それでも守り続けるためにミイラとして保存された人。
その人を見た時には特に何も感じることなく こういった文化が世界中にあるのだろうな。
という感想だった。
そして別の博物館にて子供のミイラを見る機会も得た。
その子供たちは生贄とし神に捧げられた。
神に好まれるようにその集落で一番魅力的な子供を選ぶという。
その説明を聞いたからかそれとも全く関係ないのか?
悲しいという感情もなく涙が止まらなかった。
そして、日本で古戦場を訪れた際も、その場では特に何もなかったが、睡眠中に人なのか沢山の人に髪の毛を引っ張られるというイメージが沸き上がった。
(こういったことは以前もあったので、その手をつかんでは折って投げるということを繰り返すうちに目が覚めたが・・・)
全ては私の思い込みでただの勘違いや夢なのかもしれない。
それでも何年も何年も強い祈りを受けた人形にそうして体が残っていようが無くなっていようが物言わぬ人たちもその生涯の終わり方によっては、いまだに強く思いを残していてその思いに予期せず触れることがあるのかもしれないと思うのである。