姫巫女山本鈴美香と宗教について
山本鈴美香氏とは
筆者の知る山本鈴美香(やまもとすみか)氏は、
月刊誌「ムー」にて山本鈴美香の御神託メッセージ」を書かれていた姫巫女さまだ。
多くの人が知る「
エースをねらえ!」の作者である事を知ったのはかなり後だった。
山本鈴美香氏は1949年生まれ、「エースをねらえ!」で一躍有名漫画家となった。
しかしその後、不動明王より「この世の菩薩、如来の役目がある」と啓示を受け、木花咲耶姫の弟君である八郎坊大権現を信仰し、山梨県塩山(現在は甲府市)にて神山会という宗教組織を立ち上げ巫女となった。
彼女の父親が全てをマネジメントしていた様だ。
当時連載されていた「ムー」での彼女の文章は面白かった。
断食して御神酒だけで生きているということや、コップ1杯の水を用意して真言をとなえる行のやり方が載っていたりした。
人気漫画家が宗教家になった理由
ご本人が、「エースをねらえ!の連載をあと3週残して救急車で運ばれて、医者からこのままではまともに生きられないと言われて、なんで今まで生きてきたんだろうと本当に思った」(週プレニュース2014/9/22)と語られた事がある。
臨死体験に近い状況があって宗教世界に目覚めていったのかもしれない。
しかし、それだけでは無いように思う。
「
エースをねらえ!」はライバルや勝負事、様々な障害を、主人公の岡ひろみが努力、克服することによって、成長していくスポーツ漫画だ。
そして、「エースをねらえ!」は週刊連載だった。
週刊連載の漫画家はろくに寝る時間もない。
そんな過酷な状況で、読者が感動するような作品を成り立たせるには、ご本人自身の崇高な考え方や、強靭な精神力が必要になってくると思う。
彼女は読者のために救急車で運ばれるまで自らを追い込んだ。
全てを他者である読者に捧げる姿はまるで、修行僧のようであり、殉教者のようではないか。
私利私欲を捨てて読者や周囲の為に働き続けた結果、人々を救う宗教という答えに彼女は行き着いたのではないか。
そんな気がする。
「エースをねらえ!」以降の作品の中には、随所に山本氏の宗教観、世界観が色濃く表現されていく。
彼女の漫画「ひっくりかえったおもちゃ箱」の中に「人生ってひっくりかえったおもちゃ箱みたいじゃない?」というセリフがあるのだが、随分哲学的だと感じたものだ。
またその続編の「H2O! 前代未聞!」は独特の宗教観が面白い。
「白蘭青風」は未完だが、八郎坊大権現を始め様々な神様が登場する物語だ。
宗教色が強すぎて打ち切りになったという噂がある。
神山会での山本鈴美香氏
神山会では大変精力的に活動していたようだ。
ネット上で、当時の山本鈴美香氏のアシスタントさんが書いたブログや、神山会の集会に出られた方の文章を見つけることができる。
塩山を選んだのも啓示によるもので、清浄な気に包まれた場所だったと聞く。
ご本人は断食をしたり、たくさんの人に御神託を授けていた。御神託に救われたという信者の方の話も多い。
美貌でも有名だった山本鈴美香氏は、「姫さま」「姫巫女さま」とよばれ、素晴らしいカリスマがあった。実際に御神託を受けた人の記述では「オーラが凄い」「細くて小さいのに迫力がある」と評判であった。
同じくらいに信者からやたらお金を徴収していただの、断食を強要していただのという話も出てくるが、マネジメントしていた父親の悪評と共に語られることが多いので、ご本人の考える所では無いのかもしれない。
そもそも「エースをねらえ!」の大ヒットでご本人は金銭に困っていなかった筈だ。
断食をして、自らを依代にして神を降ろして人々のために御神託を行う。
彼女はそれこそ菩薩や如来のように、助けを求める人々を純粋に救済したかったのだろう。
現在の山本鈴美香氏
神山会はホームページも無く(以前はあったようだが)現在の状況はわからない。
山本氏は体調の関係で表舞台に立つことは殆どない。
しかし、2014年の「ムー」創刊400号に寄稿されたり、同年9月の週プレニュースでテニスの錦織圭選手についてインタビューを受けたりされているので、活動はされているようだ。
稀有な漫画家であり、「7つの黄金郷」などの作品の続編を未だに待っているファンも多い。
しかし、筆者にとって山本鈴美香氏は永遠の姫巫女さまである。
(現在は巫女でなく教祖さまらしいのだが)
いつかまた、姫巫女さまが御神託を再開してくれることを願っている。