神隠しとはどういうことなの?
「神隠し」説話の背景にある地域の悲しい歴史
「神隠し」とは、ある日突然人が姿を隠す怪奇現象のことをいう。
それは必ずしも夜に起こるとは限らず、日中に忽然と姿を消したりする事例も入る。
一般的によく知られるようになったのは、柳田国男が『遠野物語』でその事例を2,3あげたことによる。

柳田国男 著:遠野物語
その多くが子どもだったことから、
人身売買を目的とした人さらいやなんらかの事故・殺人などに巻き込まれたケースもあったと考えられる。
また、東北地方ではしばしばその貧しさから「口減らし」が行われ、その事実を隠すために「神隠し」という現象が使われてきたということも大いに考えられる。
かつて、わが国では「七つまでは神の子」という言い方があった。
この言葉には七つ前までは、とにかく
病気や事故で子どもが亡くなることが多く、七つ前までの子どもが亡くなった場合、神様にお返しするという考え方がある。
もちろん、その中には死亡だけではなく、「神隠し」による行方不明者や失踪者なども入っていたことだろう。
いずれにしても、各地にある「神隠し」の伝説は、その地域に眠る悲しい歴史を暗に伝えたものである。
なぜ神隠しと呼ばれるのか?
厳密に神隠しというのは、事件性もなく、家出でもなく、人が忽然と姿を消してしまうことだ。
だが、なぜ「神隠し」という言葉が使われているのだろうか。
神がなぜ人を隠す必要があるのだろうか。
その答えは、古代にまで遡らなくてはならない。
かつて、日本は広大な山や森に覆われ、毎日多くの人が往来していた。
そして、山や森には神が住んでいると考えられていたのだ。
そのため、山や森で人が消えると「神隠し」と呼んで恐れていたのだ。
そして、各地に伝わる伝承の多くは、若い娘であった。
なぜ、多くの若い娘が神隠しに遭ったのか、その理由は定かではない。
そして、神隠しに遭った者が戻ってきたという例もあるのだ。
なかには、一夜にして盛岡から東京へと移動したという少女もいる。
その時代は大正時代。
そう、現代のように交通機関が発達していない頃の話だ。
物理的に考えれば、まず不可能な話だ。
不可解な出来事を、人は神の力でなくてはできないと思ったのかもしれない。
神隠しにあわないためにはどうすればいいのか?
人が忽然と姿を消す現象を、人々は神隠しとして恐れてきた。
天狗や妖など、人間を越えた存在が関わっているとしか思えないからだ。
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天狗による神隠しが残酷な件
だが、いつからこの言葉はあるのだろうか。それは、辿っていけば、なんと縄文時代以前から使われていたのだ。
かつて、山や森は神が住まうところとして、人々は大切に守ってきた。
山や森の入り口にはしめ縄が張られていたところもある。
これは、人がうっかり神域に入らないための、いわば結界の役割を果たしていたのだ。
山や森へと入ったものは、出口がわからずさ迷い、そのまま帰って来なかっただけかもしれない。
もしくは、山や森の中で、偶然にも神域に足を踏み入れてしまったのかもしれない。
どちらなのかは、神隠しにあった本人にしかわからないことなのだ。
そして、
真相がわからないから、人々は、神隠しに合わないための秘策を考えるのだ。
しめ縄や祠がある場所を見つけたら、それ以上踏み込まないのが、神隠しにあわないために必要なことかもしれない。
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ガチで神隠しの危険がある注意するスポットとは?