西洋魔術とはどのようなものか?

西洋魔術は、 中世ヨーロッパや北欧などの牧歌的な社会で人々の間で密かに研究されてきた民間の学問である。
貴族中心の社会において一般庶民はあまり娯楽とも接する機会もなくそのような余裕もないため、 生活に利益をもたらす実践的な娯楽として魔術というものがサブカルチャーとして流行っていたようである。
いわゆる現代で言うオカルト話のようなもので、 世の中が混乱し失業者が多く出てしまうと、 その混乱の時代を生きるためにオカルト的な世界の知識をいくつか持っていた方が精神的に逆に良いという心理と同じである。
そのため西洋的な魔術の文化は、 意外にも奥が深く民間的に実践的であり、 社会の中でのある程度の市民権を得たようである。

西洋魔術は単に民間伝承や娯楽としての側面だけではなく、宗教的・哲学的な側面も持っています。古代ギリシャやエジプト、中世以前のキリスト教、そしてカバラなどのユダヤ教の教義が、西洋魔術に深く関わっている。
西洋魔術には、天文学、占星術、神秘主義、錬金術、秘教などの要素が含まれている。
また、魔術師たちは、自己実現、神との交流、そして超越的な力の追求など、人間の内的な成長や進化を目指していた。
近代に入ると、科学的な進歩や啓蒙思想の影響を受けて、西洋魔術はその一部が批判されるようになりましたが、現代でもなお、魔術やオカルトに興味を持つ人々がいるのである。



民間に伝わる緑のゲオルクに見る豊かさ

西洋の庶民社会には豊かさを願う魔術にこんな呪文がある。
「緑のゲオルクを連れていく。緑のゲオルクのお供だ。家畜にたっぷり草を食わさてくれ。さもないと、水に投げ込むぞ 」


ゲオルクとはキリスト教の聖人で、言語によりゲオルギオス、ジョルジョ、ジョージ、ユーリーなどと呼ばれている。
キリスト教圏では4月23日が聖ゲオルクの日として祝日となっているが、ちょうど春の農耕の始まりの日として、祭りが行われる地域も多いのだ。


こちらの「緑のゲオルク」の儀式は、牛に冠をかぶせ、歌いながら牛小屋から追い立て、緑豊かになることを願うというのである。
こう言った祭は宗教や文化は違えど世界中で見られるが、やはり農業が人知の及ぶものではなく、豊穣になるか否かが神の領域だった頃は、人々の望みは願いとして発露し、祭として成立し、やがて文化となって行くのだ。
やがて農業が科学的に行われるようになっても祭が続く地域もある。
最後に実るかどうかは人間の理解の外で行われるという事だ。

この呪文には、豊かな農作物を育てるために必要なものを願うという願いが込められている。

緑のゲオルクは、農業や豊穣の神として信仰されており、牧草地や農作物にとって必要な水や日光をもたらすと信じられていた。
このような願いを込めた儀式は、農業社会においては非常に重要なものであり、農作物が育たなかった場合には、神の怒りを招くことになるとされている。

また、この呪文には、牛にも注目がされている。
牛は農業社会においては重要な存在であり、草や穀物を食べて育ったり、耕作に使われたりしていた。
この呪文では、牛に十分な食料を与え、健康で力強い牛を育てることが願われている。

このように、農業社会においては、神や聖人、動物などが豊穣や豊かさを象徴する存在として信仰され、それを願う儀式や呪文が行われていら。
今でも世界中の農業社会においては、このような信仰や儀式が続いている。



民間の逸話から考える魔法陣がまるい理由

 ここは中世ウクライナ、ここには古い教会が点在しており陰鬱な雰囲気を構成している。
不気味な農夫、魔女のような鉤鼻の老婆がやたらとうろついている。
静かな農村地帯だが、人々は疑い深そうに下を向いて作業している。
 ここの教会では死体を棺桶に入れ、神学生に管理させている。
しかし神学生は最近ノイローゼ気味だ。
何故ならここの教会では化け物の類が次々に出てくるからだ。
 ただでさえ、蜘蛛の巣があちこちにあり灰色に煤けた教会の内部。
一人で夜間を死体と過ごすことは楽しいことではない。神学生は椅子に腰かけ本を読んでいた。
 「早く朝にならないかな。」神学生は小さくつぶやいた。
その時、部屋の隅にモヤモヤと白い埃のようなものが現れた。
その白いモヤモヤとしたものは次第に大きな車輪のような形を作り、中央には小さな老婆が現れた。
 神学生が「お前は誰だ」と尋ねると「私の名前はヴィー」と答えた。
そして次の瞬間神学生は白い車輪のなかに吸い込まれそうになった。
悲鳴を上げながら吸い込まれそうになる神学生は咄嗟に、傍にあった杖で自分の足元をぐるっと囲むように円を描いた。
 するとその円の中に、黄色い光が立ち込め、白い車輪の化け物の力は及ばないのであった。
「お前はどこでそれを知った?」老婆は力なく尋ねると、一瞬の間に魔女の姿に変わった。
神学生はその時、魔術に関する本を読んでおり、円が魔法陣の役目を果たすことを知っていたのであった。



    

ページのトップへ戻る
そもそも、魔術とは何なのか?
魔術と人々が生きた歴史を忘れてはいけない
運命が変わる魔法の言葉について
オカルトマニアクス 魔術カテゴリ
オカルトマニアクス TOPページ