西洋魔術とはどのようなものか?

西洋魔術は、 中世ヨーロッパや北欧などの牧歌的な社会で人々の間で密かに研究されてきた民間の学問である。
貴族中心の社会において一般庶民はあまり娯楽とも接する機会もなくそのような余裕もないため、 生活に利益をもたらす実践的な娯楽として魔術というものがサブカルチャーとして流行っていたようである。
いわゆる現代で言うオカルト話のようなもので、 世の中が混乱し失業者が多く出てしまうと、 その混乱の時代を生きるためにオカルト的な世界の知識をいくつか持っていた方が精神的に逆に良いという心理と同じである。
そのため西洋的な魔術の文化は、 意外にも奥が深く民間的に実践的であり、 社会の中でのある程度の市民権を得たようである。

民間に伝わる緑のゲオルクに見る豊かさ

西洋の庶民社会には豊かさを願う魔術にこんな呪文がある。
「緑のゲオルクを連れていく。緑のゲオルクのお供だ。家畜にたっぷり草を食わさてくれ。さもないと、水に投げ込むぞ 」


ゲオルクとはキリスト教の聖人で、言語によりゲオルギオス、ジョルジョ、ジョージ、ユーリーなどと呼ばれている。
キリスト教圏では4月23日が聖ゲオルクの日として祝日となっているが、ちょうど春の農耕の始まりの日として、祭りが行われる地域も多いのだ。


こちらの「緑のゲオルク」の儀式は、牛に冠をかぶせ、歌いながら牛小屋から追い立て、緑豊かになることを願うというのである。
こう言った祭は宗教や文化は違えど世界中で見られるが、やはり農業が人知の及ぶものではなく、豊穣になるか否かが神の領域だった頃は、人々の望みは願いとして発露し、祭として成立し、やがて文化となって行くのだ。
やがて農業が科学的に行われるようになっても祭が続く地域もある。
最後に実るかどうかは人間の理解の外で行われるという事だ。



民間の逸話から考える魔法陣がまるい理由

 ここは中世ウクライナ、ここには古い教会が点在しており陰鬱な雰囲気を構成している。
不気味な農夫、魔女のような鉤鼻の老婆がやたらとうろついている。
静かな農村地帯だが、人々は疑い深そうに下を向いて作業している。
 ここの教会では死体を棺桶に入れ、神学生に管理させている。
しかし神学生は最近ノイローゼ気味だ。
何故ならここの教会では化け物の類が次々に出てくるからだ。
 ただでさえ、蜘蛛の巣があちこちにあり灰色に煤けた教会の内部。
一人で夜間を死体と過ごすことは楽しいことではない。神学生は椅子に腰かけ本を読んでいた。
 「早く朝にならないかな。」神学生は小さくつぶやいた。
その時、部屋の隅にモヤモヤと白い埃のようなものが現れた。
その白いモヤモヤとしたものは次第に大きな車輪のような形を作り、中央には小さな老婆が現れた。
 神学生が「お前は誰だ」と尋ねると「私の名前はヴィー」と答えた。
そして次の瞬間神学生は白い車輪のなかに吸い込まれそうになった。
悲鳴を上げながら吸い込まれそうになる神学生は咄嗟に、傍にあった杖で自分の足元をぐるっと囲むように円を描いた。
 するとその円の中に、黄色い光が立ち込め、白い車輪の化け物の力は及ばないのであった。
「お前はどこでそれを知った?」老婆は力なく尋ねると、一瞬の間に魔女の姿に変わった。
神学生はその時、魔術に関する本を読んでおり、円が魔法陣の役目を果たすことを知っていたのであった。



    

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